本研究は、男児を妊娠中にプラスチック化学物質の一種であるビスフェノールA (BPA) に曝露された母親から生まれた子どもたちにおいて、自閉症の症状が見られる可能性が高まることを示しています。オーストラリアとアメリカの二つの大規模生誕コホート研究を通じて、研究者は高いBPAレベルと自閉症診断との関連を確認しました。特に、アロマターゼというホルモン調節酵素のレベルが低い男児において、この関連性が顕著でした。妊娠後期に高い尿中BPAレベルを持つ母親から生まれた男児は、2歳までに自閉症の症状を示す確率が3.5倍、11歳までに自閉症と診断される確率が6倍に増加しました。これらの結果は、BPAが脳の発達に与える影響を生物学的に示すもので、特に男性の胎児の脳発達における潜在的なメカニズムを解明した重要な研究です。