本論文では、スパースなウェアラブル慣性測定ユニット(IMU)を使用して多人数の全身動作を追跡する新たな手法「グループ慣性ポーザー」を提案しています。この手法は、視覚ベースのアプローチが持つ遮蔽や環境の計測の限界を克服します。IMUのみの追跡では、個人間の正確な相対位置推定が難しいですが、スパースセンサー間の距離を組み合わせることで、複数の個体のポーズとグローバルな移動を正確に推定します。超広帯域(UWB)距離計測を用いてペアのセンサー間の絶対距離を算出し、これを慣性観測データと組み合わせて、構造化状態空間モデルに入力します。また、GIP-DBという2人追跡のためのIMU+UWBデータセットも紹介しており、14人の参加者からの200分の動作記録が含まれています。実験結果では、グループ慣性ポーザーは、合成データおよび実データにおいて、従来の最先端手法よりも精度と堅牢性に優れていることが示されました。