本研究では、MRIによる脳腫瘍のセグメンテーションにおいて、注釈付きデータセットが限られている場合やコストが高い場合に適用可能な教師なし異常検知(UAD)の新たなアプローチを提案しています。提案する「マルチモーダルビジョントランスフォーマーオートエンコーダー」(MViT-AE)は、健康な脳のMRIのみで学習を行い、再構成エラーマップを通じて腫瘍を検出・局在化します。このアプローチにより、手動でのラベルに依存せずにセグメンテーションが可能になり、神経画像処理のスケーラビリティ向上に貢献します。BraTS-GoAT 2025データセットを用いた評価では、当該手法が臨床的に意義のある腫瘍の局在化を達成し、特に感度の高い検出能力を示しました。この研究は、トランスフォーマーベースの教師なしモデルが神経腫瘍画像解析においてラベル効率の良いツールとして活用できる可能性を示唆しています。