中国のChang'e-6ミッションで収集された月の裏側の塵から、水を多く含む非常に脆弱なIvuna型炭素質コンドライト（CIコンドライト）と呼ばれる隕石の微小な粒子が初めて確認されました。この隕石は、大気圏を通過する間にほとんど壊れてしまうほど脆い性質を持っています。CIコンドライトは水分を多く含み柔らかいため、地球上では1%未満しか発見されない極めて希少な隕石です。月には大気がないにも関わらず、隕石と月面の衝突速度が非常に高いため、これらの隕石が何らかの形で月に存在することが示されました。研究チームは、南極-エイトケン盆地という古代の衝突残骸が期待される場所からサンプルを採取し、化学的・同位体分析を行った結果、CIコンドライトに由来することが確認されたのです。この発見は、太陽系初期におけるCIコンドライトの月への衝突の直接的な証拠となります。