酵素のアミノ酸変異が熱力学的安定性(ΔΔG)に与える影響を予測することは、タンパク質工学や薬剤設計において重要です。従来の深層学習手法では、配列情報と構造情報を独立に処理しており、局所構造幾何とグローバルな配列パターン間の複雑な結びつきを捉えきれませんでした。本論文では、DGTN(Diffused Graph-Transformer Network)という新しいアーキテクチャを提案します。このモデルは、拡散メカニズムを通じて、グラフニューラルネットワーク(GNN)の重みと変換器の注意を共学習します。具体的には、GNNが得た構造埋め込みが、学習可能な拡散カーネルを介して変換器の注意を導きます。一方、変換器の表現は、注意で調整されたグラフの更新を通じてGNNのメッセージパッシングを洗練させます。この共学習スキームは、独立処理よりも優れた近似精度を実現し、ProThermやSKEMPIベンチマークにおいて、DGTNは最新のパフォーマンスを達成しています。