電子顕微鏡は、ウイルス粒子を解像することができた初期の段階から、原子の詳細を捉える能力を持つまでに進化しました。初めての試作機は1931年にカールスルーエ工科大学でエルンスト・ルスカによって開発され、その後の世代によって設計や試料調整、計算技術が改善され、現代生物学に不可欠なツールとなりました。1938年にはマウスのウイルスの写真を電子顕微鏡で撮影することに成功し、最近ではクライオ電子顕微鏡がCOVID-19ウイルスのスパイクタンパク質を解明し、ワクチン開発に寄与しました。しかし、静止画像しか取得できず、動的な生細胞の観察が困難で、厚い組織の撮影ができない制約もあります。それでも、電子顕微鏡は分子から生体全体の理解に必須な手段としての役割を果たし続けています。