本研究では、パラメータ化量子回路（PQC）に基づく量子アルゴリズムの「荒れた高原」（barren plateaus）現象の克服方法を提案します。荒れた高原は、システムサイズの増加に伴い損失関数が指数的に集中し、パラメータの最適化を妨げる問題です。提案手法は、原始PQCに対して量子チャネルの層を挿入することで荒れた高原を排除し、修正されたPQC（MPQC）が原始PQCと同等以上の表現力を持つことを保証します。さらに、MPQCではハードウェアのノイズにも強いロバスト性を持ち、現実のNISQハードウェアにそのまま適用可能です。本手法の実践性は、熱状態準備用の一般的なPQCを修正することで実証され、最大100量子ビットや2400層を持つ回路でも荒れた高原が効果的に排除されることが示されました。