本記事では、Target Concrete Score Identity Sampler (TCSIS)という新しい手法を提案しています。これは、離散状態空間における非正規化密度からのサンプリングを、連続時間マルコフ連鎖（CTMC）の逆動力学を学習することで実現します。このアプローチは、均一なノイズカーネルを用いた前方のCTMCに基づいており、コンクリートスコアとボルツマン因子の期待値の比を関連付ける新しい概念であるターゲットコンクリートスコア同一性に依存しています。これにより、目標分布からのサンプルや分配関数の計算を行うことなく、モンテカルロ法を用いてコンクリートスコアを推定することが可能になります。著者たちは、コンクリートスコアをニューラルネットワークで近似し、自己正規化TCSISと無バイアスTCSISの2つのアルゴリズムを提案し、統計物理学の問題に対するTCSISの有効性を実証しています。