本論文では、心電図(ECG)を用いた不整脈予測のための新しい深層学習アーキテクチャ「S4ECG」を導入しています。従来の手法では、全体的な傾向や局所的な波形特徴を捉えることが難しく、これらの同時的な相互作用を高い時間解像度で分析することが課題とされていました。S4ECGは、構造化された状態空間モデルを活用し、複数のエポックにわたる不整脈分類を行います。このアプローチは、単一エポックによる手法に比べて1.0-11.6%の改善を示し、特に心房細動においては特異度が0.718-0.979から0.967-0.998に向上しました。最適な時間的依存ウィンドウは10-20分であり、これにより不整脈検出アルゴリズムの変革が期待されています。本研究は、複雑な不整脈(心房細動や心房粗動など)のECG解釈に新しい可能性を開くものです。