大規模言語モデル(LLM)エージェントは、LLMの推論能力を活用して複雑なタスクを自動化する強力なツールとして浮上していますが、ツール選択における高い推論コストが主要なボトルネックとなっています。特に、各ステップでどのツールを使用するかを決定するためにLLMを繰り返し呼び出すReActのようなアプローチでは顕著です。本研究では、AutoToolと呼ばれる新しいグラフベースのフレームワークを提案し、ツール利用の慣性、すなわちツール呼び出しが予測可能な順序パターンに従う傾向を利用して、繰り返しのLLM推論を回避します。AutoToolは、歴史的なエージェント軌跡から有向グラフを構築し、ノードがツール、エッジが遷移確率を表し、ツール選択の慣性を効果的にモデル化します。これにより、AutoToolはLLM推論への依存を最小限に抑えつつ、ツールとそのパラメーターを効率的に選択します。実験では、AutoToolが推論コストを最大30%削減し、競争力のあるタスク完了率を維持することが示され、推論集約型フレームワークに対する実用的かつスケーラブルな改善を提供しています。