量子コンピュータの発達がインターネットのセキュリティを脅かす中、Cloudflareはポスト量子暗号(PQ暗号)への移行を支援しています。約50%のトラフィックが、この量子コンピュータによる通信の傍受と復号化から保護されています。しかし、従来のTLS証明書も量子コンピュータに対して脆弱です。PQアルゴリズムは存在しますが、大規模なWeb公開鍵基盤(WebPKI)への実装には多くの課題があります。特に、ML-DSA-44などのPQアルゴリズムの署名サイズは従来のECDSAよりも大幅に大きく、それに伴うTLSハンドシェイクのパフォーマンスへの影響が懸念されます。これに対処するため、マークルツリー証明書(MTC)という新たな提案を紹介し、TLSハンドシェイクの公的鍵や署名の数を最小限に抑えることを目指しています。この提案は、性能に影響を与えることなくポスト量子証明書の移行を実現するための重要なステップです。